特徴
版築について
「版築(はんちく)」とは、本来は建物の構造躯体を形作る、古代建築技術のひとつです。
その土地から出る土を用いて、層に突き固めていくことにより得られる独特の風合いは、長年積み重ねられてきた地層のように、風土と建物の間に馴染みをもたらします。
国外において版築は、中央アジアのブータン王国、ネパール、北部インド、北アフリカマブレブ諸島等で、現在でも住宅建築等の構造躯体に使用されています。
世界各地で多くの建物が1,000年以上もの長い年月を経てなお、その形を留めていることが、版築の持つ強度と優れた性能を立証しています。
日本国内においては版築は1,200年以上も前に遡って、仏教建築の渡来とともに大陸からもたらされ、その痕跡は奈良の薬師寺、法隆寺、また近代までは土蔵の構造躯体としても使用されてきた姿を垣間見ることができます。
しかし、近年の建設工事のスピード化、ローコスト化等に伴い、現在ではその姿をほとんど目にすることが出来なくなっています。
ぬり貫は、「版築」の重厚感のある風合いをそのままに、「版築仕上げ」として意匠的に再現する方法を日々進化させています。
ぬり貫の「版築仕上げ」とは
「土台」という言葉があるように、版築は、土を突き固めて建物の基礎や構造躯体として使用したものです。本来の目的から言えば厚み450mm以上を要するものですが、ぬり貫においては、版築の風合いをそのままに「版築仕上げ」として、厚み50mmでの施工を可能にしました。
樹脂で不自然に固めたような表情ではなく、本来の版築の質感を再現することを第一優先として土・砂の成分配合をしているため、土と砂の浮き立つような自然な折り重なりや従来の版築と同様に自然発生するクラック(壁に入る細かい裂け目や割れ目)も、版築に馴染みの表情として浮かび上がります。
※壁内部には当社が開発を重ねた剥離防止装置を設けているため、クラック等が発生した場合でも、版築仕上げ部分が下地から浮いてきたり、剥がれ落ちたりすることは過去10年の施工実績の中で一度もありません。
※版築は事前に、下地・端部納まり等の打ち合わせが必要です。
※版築は1㎡あたり100kg前後の重量があるため、構造的な確認が必要となります。0M